たとえ結ばれなくても。
「……、え? つ、ばさ…?」
「は?」
いきなり自分の名を呼ばれ、不信感で眉間に皺を寄せた。
だが、その声には聞き覚えがあった。
……いや、ハッキリと覚えている。忘れようと思っても、忘れられなかった声。
嫌な汗が額に滲む。
ドクドクと鼓動が速く波打つ。
先ほどまで落ち着いていた頭痛が、再び襲いかかってきた。
一一なんで…、なんで。
「…夕夏。」
どうして夕夏が、ここにいる?