たとえ結ばれなくても。
「っ…、」
好きだったんだ、本気で。
愛してたと言っても、過言ではなかった。
俺は彼女を、愛してた。
「…用意、すっか。」
ポツリと呟き、自室に戻る。
着替えを済まし、財布と携帯電話をポケットの中に入れ、家を出た。
どこに行くでもなく、ただブラブラと街を歩き続ける。
そのうち、大通りまで出てきてしまっていた。
「どこに行くべきか。」
特に行く宛もないのに外に出たのは、あの家に居たくなかったから。
あの家は、思い出が多すぎる。
あの、女との。