社長の溺愛

会いたい、会えない。




俺が思っている以上に俺はダメージを受けていたらしい


ベッドの上で熱を出して涙を浮かべた彼女を見ることもしないで家からでる


途中、幸弘は冷めたような口調で「さっさと行けよ、翼ちゃんは俺が見る」と彩加の代わりに家に残った


スローモーションのように流れていく景色に感情なんて湧いてこない


呆然と停止した脳内で彼女の苦しそうな表情がひたすら繰り返される


運転席に座る彩加はなにかを言っていたような気がするが、他のことに気を配る余裕なんてなにもなかった



ただ一つ


会社に入ってからは仕事に逃げるようにしてデスクに向かった

ただひたすら無感情で無表情で感情なんて入る隙間もないくらいに……


少し前まで滞っていたはずの怒りは、もう既に消え去っていた



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