社長の溺愛




「………お疲れ様でした」


俺は可哀想な幸弘に一言捧げた


どうやら翼は欲が無いらしい



今までの女は必ずといっていいほどやれ「カバンが欲しい」だの、やれ「ネックレスがいい」だのと言っていたから
翼も何か買ってくるに違いないと思っていた



当の翼はシャーペンの芯を眺め、筆箱に入れると何故か満足気にしている



なんか…






可愛いなぁ…






欲がなく、小さいことで満足できる女を初めてみた俺は、なんとも言えない嬉しさを感じた




でも、このまま終わるわけには行かない


いくら翼がいらないと言っても、さすがに服や靴は必要だ


昨日は俺のを貸したがいつまでもそれじゃ、外に出るときに困る


まぁ、俺のTシャツを着た翼はなかなか良かったが…



このままでは拉致が明かないと、最終決断にでた


「おいで、翼」


軽く手招きをすると、素直に俺の側にくる








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