社長の溺愛



「なぁ、翼」


「…………」


「……手伝ってほしいことがあるんだ」



恐る恐るといった体で顔を上げる翼



「仕事を手伝ってくれ、翼にしか出来ないことだ」



「…………」



「手伝ってくれないのか?じゃあ…――「行く―…」



ソファーに置いてあるクッションを抱きながら立ち上がると「お手伝いする」と言ってパタパタとリビングから走り去って行った



もしかしたらと、思ったが、実際そうだったみたいだ


翼は俺の為を思って、自分なりに考えたんだろう


だったら。と、俺の頼みなら聞くかもしれないと思ったら、見事に当たった


本当は一緒に会社に行きたかったんだ


やっぱりまだまだ甘えさせる躾をしなければならないようだな…


俺限定で甘える躾だけど




「慎、早く行こー?」


玄関から声が聞こえる



嬉しすぎて既に靴まで履いていたようだ



「ゆっくりでいいから、な?」



すると、翼はとてつもなく可愛い過ぎる反応を見せてくれた



「むぅーー……」



桃色にうっすら染まっている頬を小さく膨らましている




…拗ねてる?






早く行きたくて拗ねてる…!








一気に心臓が締め付けられるような気分…




『萌え』だ





可愛い…!




可愛いすぎる…!






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