眠りの聲(こえ)―宗久シリーズ小咄2―
出来る範囲で、付き合っていけばいい。



僕は一生、この能力と付き合って生きていかなければいけないのだから。






誰かの、役には立つ筈。





感謝こそすれ、誰かの責任にする事ではないのだ。






だから、父のせいでもない。




自分自身が、前向きに生きていかなければ。












「宗久………出来る事だけでいいんだ…それは逃げではなく、諦めでもなく、見極めを受け入れる勇気だ。恐れてはいけない……弱みを見せてはいけない……」







死の間際、父は再度、僕への遺言を残した。





「分かっているよ、父さん」


笑う僕に、父もまた、弱々しく笑った。








「お前は、父さんの誇りだ……」






冷たくなっていく父の手……。




恐怖に震える僕を、温かく包んでくれた手。







父はいつも、見守ってくれていた。







僕はこれからは、一人で向き合っていかなければならなかった。







見えないものを見る能力。



聞こえないものを聞く能力。





それを、迷う誰かを導く為に使うのだ。







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