運命に導かれて



その頃羽衣はルカに言われた通り部屋に戻り、まさかルカとカインがそんな会話をしているなど知る由もなく、ただもし時間が空いたら少しでもルカに会いたいと思っていた。


「羽衣、話がある。」


思いの外早く訪れたその時に、羽衣は嬉しくなりルカに満面の笑みで抱きついた。



「ルカっ。嬉しい。カイン様はお帰りになったの?今ね、少しでもいいからルカに会いたいなって思っていたんだよ。」



ルカと想いが通じあった今羽衣は素直にルカに甘えるようになっていた。



とはいえ我が儘をいうわけではなく、無自覚にルカが大好きというオーラを醸し出している。



ルカだってそんな羽衣と同様、羽衣にはひたすら甘い。



2人とも出会った頃が嘘のようなのだ。



だが今ルカは少し羽衣にも説教をしようと部屋に来たのだ。



こうして抱きついてきて上目遣いで見つめられては、せっかくの決意も鈍りかけるが



抱き締めたくなる衝動をぐっとこらえ、両肩に手を置いた。



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