heart to heart +love☆
律の優しい声が好き。

低くもなく高くもない、落ち着いたその声が、私の心に届く。


“柚希だからじゃない?”


そのセリフが、私だけのための優しさだってことを証明してて、ちょっとニヤける。

ときどき紡がれる、ほろ甘いセリフ。

律は愛してるだなんて言わないけど、そんなの言わなくても十分伝わるよ。

自惚れかな?


「りっちゃん好きだよー」

「りっちゃんって言うな」


そう言いながら乱暴に頭をなでられた。

髪の毛ぐちゃぐちゃ。

もー、って言いながら髪を整えてたら、ふいに影が出来る。

唇に甘い感触。

数回短くキス。

そして、閉じたまぶたにキス。

キスがこんなに気持ちいいなんて、思ってもみなかった。

大げさかもしれないけど、生きてて良かったーなんて思うんだ。

律が色んなことを教えてくれる。

数学だって、恋愛だって。

目を開けると律の笑顔。

最高に幸せな瞬間を共有できることが、なによりも嬉しい。

甘ったるい気分になっていたら、


「あっ!寺門くん、明日葉さん見なかった?一応診察しておこうかなって…」


曲がり角の向こうから城東医大の学生アルバイト講師さんの声。

“寺門くん”って、テラくん…!?

そして彩乃も苦笑いしながら顔を出した。


「いや、たまたま通りがかって~」

「絶対ウソでしょ!?」


初めてのお泊りの夜は、にぎやかに更けていくのでした…。
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