真実を嘘だと言い聞かせた僕ら。


「…お前のせいだ…」


晴馬がボソッと呟いた言葉は、はっきりと私の耳に届いた。私の…せい。


刹那、静かになった部屋にパンっ、という乾いた音が響いた。


その音がなんなのか、じわじわと頬にくる痛みでわかった。晴馬に、平手打ちをされたんだ。



なんで?どうして晴馬は私のせいだと言うの?どうして私の頬を叩くの?


どうしてそんなに、恐ろしい表情なの?



「…腕…離して」

「煩い」

「ほっぺ…痛い」

「黙れ」

「…ねぇ…お兄さんなんでしょ…?」

「っ…黙れッ!!」

パァン、

さっきと同じ頬を叩かれる。痛い。
痛みが二重になって、涙が零れる。痛い。

「全部お前のせいだ!!来い!」

ぐいっと腕を引っ張られて、ベッドに投げ捨てられる。
< 21 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop