真実を嘘だと言い聞かせた僕ら。


恐怖がむくむくと湧き上がってきて、気が付いたら枕を晴馬に向かって投げていた。

晴馬は顔を背け、こめかみにそれをくらった。


「あ…ごめ…なさ、」


晴馬は弱々しく床に落ちた枕を拾い上げ、何も言わずベッドの上においた。

そして

「今日はこの部屋でおとなしくしてろ。飯は俺が持ってきてやる」

と言って、私に部屋着を渡し、部屋を出て行った。



「…なにそれ…それじゃあ監禁だよ…」


どうしてなの晴馬?
こんなことするなら全てを話してからにして…

そんなこと
言えなかった。そんな自分が、情けなかった。


声を殺して涙を流すことしかできない自分を、酷く嫌った。


< 25 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop