純恋〜スミレ〜【完】

「……――ごめん、やっぱり今の話忘れて?」


優輝の顔を見ずにそう言うと、あたしはお兄さんが倒れていたという場所を見つめて、そっと両手を合わせた。



ねぇ、お兄さん。


あたし、今朝……お兄さんの夢を見たよ。


あの事故を思い出す度に苦しくてたまらなくなるんだ。


だけど、お兄さんはあたしよりもっと苦しかったよね。


もっともっと痛かったよね。


ごめんね、お兄さん。


本当に……ごめんね。


< 64 / 487 >

この作品をシェア

pagetop