大好きなんです。


「……もちろん。出来るかぎりでいいなら夕食も用意してあげるよ」




こんなに楽しい雨の日は、あたしの中では初めてで。
断る理由なんてどこにもなかった。


晴れの日は屋上、雨の日はあたしの部屋。




「……良かった。ありがとな」


「うん。改めてよろしく」



安心したように笑う良羽に、あたしもうれしくなった。




「そうだ。密、携帯持ってる?」


「うん」


「赤外線しよ」




そんな成り行きで番号とアドレスまで交換して、あたしたちの奇妙で曖昧な関係が始まった。


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