Kissシリーズ・強引なキス
強引なキス
「寄るな、触るな、近づくなぁあ!」

「お前、いい加減に諦めろ」

ぐいっと手を引かれ、無理やりキスされる。

「んむぅっ!?」

けれど力の限りヤツの胸を押して、離れる。

「わっ私はまだ納得していなんだっ! 借金のカタに嫁入りなんて、今時ふざけている!」

「ふざけているのはオレの家から多額の借金をしたクセに、返せなくて娘を差し出してきたお前の両親だろう?」

「ぐっ…」

それは…否定できない。

「しかもまだ高校生。入籍は済ませたとして、式は卒業後。お前が今まだ学校に通えるのも、家族が平穏無事に過ごせるのも誰のおかげだ?」

ヤツは得意げににんまり笑う。

…クッソー。

あのバカ親め。未来永劫恨んでやるっ!

ウチの家はそもそも、町工場を営んでいた。

けれど世の不況のあおりをモロに受けて、あっと言う間に仕事も金もなくなった。

やがて親はヤバイ所から金を借りるようになり、…お決まりの転落コースを行った。
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