失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



「うぐっ…」

トイレに行き放尿するたびに

ぺニスに激痛が走る

思わずうめいてしまうくらい

尿に血が混じる

それが数日続いた



男は以前のように僕にシャブを打ち

そして激しく抱いた

男の行為は

僕が死にかける前とあとでは

なにか違うように感じた

クスリが効いてるときは

やっぱり痛みが鈍く

男の責めに身体を任せてしまうが

クスリが切れて来るときの痛みが

容赦なくあとから僕を襲った

痛みとヤク切れに悶絶しかける僕を

男は再び犯すことさえあった

何度も果てたはずの男が

僕の苦しむ姿に再び欲情して

僕のボロボロの身体を喰らった

まるで飢えた獣みたいに

際限なく

何度も何度も繰り返す

狂気じみた淫欲の嵐に

僕はなすすべもなく巻き込まれた

男はあれから一層無口になった

だが僕には男が心の中で

何かを叫んでいる

そんな風に思えてならなかった

ベッドの下にメスを隠したまま

三日…四日と時は過ぎていった





そしてとうとう

僕があの客に売られる日が

間近に迫っていた





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