失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



夜中に悪夢を見て目が覚めた

内容はよく覚えてない

ただ気持ち悪い感覚を

ひたすら我慢しなければならない

というような雰囲気だけが

脳裏に残留していた

目覚めても嫌悪感が身体に残り

とても落ち着かない気分で

僕は両手で自分の肩をつかみ

ベッドの中で身体を縮めて

固まっていた

最近は彼の選んでくれる眠剤が

よく効いているせいか

夜中に起きることはなかった



意識はあるが

とてもモウロウとしていた

夢と現実の区別がないみたいに



いま何時なのかはわからない

記憶はそこまでだった





冷たくて…ぬるい…

どこにいるんだろう

ここは…どこだろう

わからないな

座りこんで足を投げ出して

壁にもたれてる…のかな

足が冷たい

濡れてるみたい

手首がぬるい

…痛い…

どっかが…痛い

起きなきゃ

目が開かない

眠い…な

このまま寝ようか

痛い…なぁ…






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