失われた物語 −時の扉− 《後編》【小説】



「そうだよ…俺に飼われるんだよ

可愛いから飼ってやりたいんだよ…

いつでも抱けるようにさぁ」

「いつでも…いつも抱いて…抱いて

くれるの?側に居られるの?」

「ああ…飼われて…俺の言う通りに

抱かれてくれたら…それで良い」

打ち上げられた魚が

水を求めるように

僕はその言葉に何度もうなづいた

「良い子だ…お前は良い犬だな…

ほら…犬みたいに四つん這いになれ

よ」

僕は痺れる身体を震えながら起こし

膝をついて犬みたいに前足で

疼く身体を支えた

男は僕の後ろを指で広げた

一瞬違和感を感じたそこに

男の固さが僕を突き上げてきた

「うっ…くううっ!」

男は僕を後ろから犬みたいに犯した

「今からお前は俺の犬だ…かわいい

な…こんなに腰振って…悶えて」

しばらくすると

あのときと同じ

えもいわれない気持ち良さが

僕の身体と心に広がっていった

「ああ…良い…抱きしめてよ…ねぇ

抱きしめて…」

「してやるよ…ほら…溶けるだろ」

狂ったように抱きしめ合う

時間すら忘れて二人で求めあった

舌を絡ませて唇を貪って…

「今日は途中で帰らないで…一緒に

眠りたい…一緒に…隣に居て」

それを聞いて男は僕の中で弾けた

しばらく僕の身体の上で

荒く息をついて

急に僕から離れて仰向けに転がり

舌打ちをして言った

「お前の身体…たまんねぇな…淫売

の身体だな…くそ…はまっちまう」

そして僕の髪をつかみ

自分の方を向かせられた

「誰から仕込まれたんだよ…こんな

歳でこんな身体してよぉ…お前さ…

売ってたんだろ?…正直に吐けよ…

売ってたんだろ?」





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