美女か野獣か


「獅童と呼ばれてた方がそう呼んでいたので…」


私は、そう言って高良を見た。

「あぁ獅童か…あっ!!でも凛斗を高良って呼ばない方がいいよ?コイツ自分の事、名字で呼ばれるの嫌がるから」


「はぁ…」


「あっ!!俺の名前は、冬磨(トウマ)ヨロシクネ?キミ名前は?」


「私は、円じ…じゃなくて、清葉(キヨハ)です」


私は、とっさに名字を言おうとしてやめた。


円城寺の名前を出すといちいち面倒くさい事になりかねないから…


冬磨は、そんな私を気にする風もなく「ヨロシクネ清葉ちゃん」と言って爽やかに笑った。


程なくして…


車は、大きな倉庫の前で停車した。


すると冬磨が助手席から降りて後部座席のドアを開けてくれた。


どうやら私は、ここで降りないといけないらしい…


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