手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
リビングから出て来た遥さんが、親父を見てハッとした様子で、リビングに舞い戻る。



「ちょっ…離せよッ!!」



親父は親父で、俺の胸倉を引っ張り、外へと連れ出した。

車に俺を蹴り入れると、「くせぇ」と言いながら、エンジンを掛けてすぐに発進。



「“くせぇ”なら下ろせよ」



「…お前、その口なくされたいか?」



「――ッ!!」



クールで。

元・暴走族の総長だったのは知ってる。

けど、こんなにもキレた親父は初めて見た。

後ろ姿だけでもわかり、ミラーが見れない。

さっきの雨が嘘のように晴れ渡る空の下。

俺は見慣れた場所で降ろされた。
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