手を繋ごう―瞳を開いて私を見て―【完】
「いくら?」



「出すから良い」



慌てて追い掛けると、仁志は自分の財布から千円を出して、切符を2枚、買おうとしてる。



「ダメだよっ」



「ダメじゃない。俺はバイトしてるし、甘えなさい」



「甘え……ます;;」



仁志の目力に、私は頷くしかなかった。



「帰りは私が出すね!」



「甘えてれば良いから」



そうは言われても、空さんのように、奢って貰うのに抵抗感がある。

「うーん…」と返事に迷ってると、仁志は私に手を差し出した。



「今日だけ、俺の彼女になって。
そのお礼に、俺が金を出す。それで良いか?」



“良いか”?

…余計に迷うよ;;
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