Platinum Kingdom【完全完結】
入口が見えてきた。
そして、入り口前で、
「さぁ、こちらでお降りください」
高畑さんに誘【いざな】われ、お祖母様は優雅にお降りになった。
私はというと、慣れていないのが目に見えて分かるように、ぎくしゃくしていた。
……緊張しちゃう。
……って言うか、緊張しまくってる。
この料亭の中に入るだけで、これだけガチガチに固まっちゃってるのに、お見合いなんて大丈夫なの?私。
ううん。
…しっかりしろ、私。
ここから先に入ったら、
この敷居を跨【また】いだら、
“白蕗 更紗”じゃなくて“白蕗の令嬢”として見られるんだ。
こんなんじゃ、ただ足を引っ張りに来ただけじゃない。
……そんなのは絶対にイヤ。
私の決意はそんなものじゃなかったはず。
私は静かに3秒目を閉じ、大きく深呼吸をした。
受験の時、先生から教わった緊張をほぐし、心を落ち着かせる方法。
「……更紗さん?」