君ニ恋シテル


「…で、いつまでここにいるわけ?」

「………。」

若干イライラした声で亜紀ちゃんが私に言った。

その声に何も返事を返せず、黙ってしまう私。


今、私達は駅の二階にいる。

手すりにうなだれ、一階をただぼんやりと眺めていた。

お祭り帰りの浴衣を着た女の子達が、笑顔で歩く姿を意味もなく目で追う。

ほんの少し寂しさを感じる夜の駅。


駅にはなんの用事もない。
家には歩きで帰れる。


ここにいる理由はただ1つ…帰りたくないって想いだけ。

完璧に私のワガママだった。


「優奈ぁ、帰ろうよー」

「亜紀ちゃん…」


どうしようもない想い。

自分でもよくわからない。

帰りたくない。

ずっとコンサート会場で、てっちゃんと同じ空間にいたかった…。

もしかしたら、二人が駅に来るかもしれない。

見れるだけでいい。


そんなバカな考え。
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