君ニ恋シテル
「あっ、もしもし…俺、徹平だけど」

迷っているうちに、電話は優奈ちゃんと繋がってしまった。


「うん、今コンサートで地方に来てて…あ、知ってた?そっか…」

なんとなく緊張しながら話す俺を、逞は楽しそうに見つめる。


「えっ?ほんともう気にしなくて大丈夫だよ。うん、心配かけてごめんね」

優奈ちゃんはまだ真夏の大感謝祭の日のことを気にしていた。


「…ありがとう、頑張るよ。じゃあ、おやすみ」


電話を切ると、すかさず逞が俺に話しかける。


「優奈ちゃんと話せてよかったな!」

「よかったなって…勝手にかけるとかもう二度とするなよ」

「おー、怖っ!徹平怖いー!」

逞はふざけながらそう言うと、バスルームへと走って行ってしまった。


「はぁーっ」

俺はベッドに寝転んだ。

ほんと逞はいつも勝手だし強引だ。

部屋の灯りを見つめていると、疲れのせいか眠気が襲う。


でも…優奈ちゃんと話せたのは嬉しかった。

ほんの数分だったけど、声を聞けて凄く癒された。

こんなふうに思うなんて…不思議だよな。

ぼんやりとした意識の中、俺はさっき優奈ちゃんと交わした会話を思い返していた。
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