君ニ恋シテル

◇◇◇

「はい、カーット!お疲れ!陽花ちゃん良かったよー!」

「ありがとうございますー」

監督の言葉に愛想良く答える。
内心うざっと思いながら。


ドラマ、夏に恋しての撮影も、そろそろ終わりが近付いていた。


つまり、もうすぐ徹平くんともお別れってこと。
撮影がある間は会えていたけど、これが終わってしまったら、今みたいに頻繁に顔を合わせることもなくなる。

そろそろ告白の時期かなー。
理想は徹平くんの方からしてほしかったけど…仕方ない。

いつがいいだろう…打ち上げの時、その時がチャンスかも。


なんて思考を巡らせていると、

「陽花ちゃんお疲れ!はい、喉渇いたでしょ?」

マネージャーの早見一郎が飲み物を持ってきた。

受け取った瞬間、いらっとした。


「ちょっとこれメロンソーダじゃない。私これ嫌いって前にも言ったでしょ!?忘れたの!?」

「あ…!ごめんね、そ、そうだったね!でも結構飲んでたから好きになったのかなって思ってたんだけど…」

「なってない!違うのにして!アイスコーヒー!」

「は、はい!今すぐ…!」

はあ…ほんと使えない。
もうマジうざすぎ…イライラするぅー。

メロンソーダ飲んでたのは徹平くんに合わせてただけ。
全然好きじゃないし勘弁してほしい。


それはそうと、最近気になっていることがある。
それは、徹平くんがつけてるネックレスのこと。

誕生日の後からつけてるから、誰かからのプレゼント?

もしや…彼女?
…彼女がいるからいつも私の誘い断ってたとか?

でも、彼女いるなんて噂は聞いたことないし、気配もなかったはず…。

まあ、徹平くんにならいても不思議じゃないけど。

っていうか、ネットの掲示板ではあのネックレス私がプレゼントしたんじゃないかって噂になってるし、ウケる。

ほんと、ファンって単純。


そういえば、私があげた時計はつけてくれてるのだろうか。

一回もつけてるところ見たことないけど。

高価な物だし、普段気軽にはつけれないか。


チラリと徹平くんの方へと視線を向ける。
緑川浩二から飲み物を受け取り飲む徹平くん。
ちょっとすると緑川浩二がその場を離れた。

話しかけるチャンス。
あいついるといつも全然話せないんだもん。大嫌いな緑川浩二。


「陽花ちゃん、アイスコーヒー持ってきたよ」

「いらない」

早見一郎を無視して、私は徹平くんのもとへと向かった。
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