君ニ恋シテル
少しすると、沙弓ちゃんが逞くんの部屋の片付けをすると言い出した。

というか、逞くんが沙弓ちゃんに頼んだ…っていうのが正しいかもしれない。

すると、亜紀ちゃん、百合香ちゃん、洋祐くんも逞くんの部屋を見たいと言って、一緒について行くことに。


ぞろぞろと歩き出すみんなの背中を見つめていると、あることに気付いた。

ん?ちょっと待って…。
もしかしてこれって、てっちゃんと2人きりになっちゃう感じ…?

そのことに気付いたとたん、心臓がバクバクと暴れ出す。

ど、どーしよー!
二人きりにはなりたいけど…でも。

ダメ!恥ずかしくてたえられそうにない…!

みんな一緒だからどうにか普通にできてたけど、今二人になったら何を話したらいいのかわからないよ…。


………。


私もみんなに着いて行っちゃお…!
亜紀ちゃんたちの後を追おうと一歩踏み出すと、急に逞くんが立ち止まり、くるりとこちらを振り向いた。

「あ、そうだ!掃除してる間に徹平買い物行ってきてくんね?お酒とかお菓子なくなってきたし。一人じゃ大変だから…優奈ちゃんと一緒に!」

えっ…!?
逞くん何言って…!

突然のことにぎょっとして逞くんを見ると、軽くウインクして見せた。

っ…。
絶対ワザとだ…。


「わかった、買ってくる。優奈ちゃん、ごめんね?一緒にいい?」

「うん…!全然私は大丈夫だよっ!」

「よかった。じゃあ、行こっか」

ニコッと笑うてっちゃんに、やっとの思いで頷く。
ヤバイ…顔が熱いよ。

チラリとみんなの方に目を向けると、亜紀ちゃんと目が合う。

と、パチンとウインクをしてみせた。
逞くんと同じことしてるし…。


みんなの前を通り過ぎ部屋を出ると、なんとなくほっと一息。
なんて、そんなのも束の間で…隣にいるてっちゃんの姿に、一気に緊張が高まる。


どうしよう、どうしよう、どうしよう…!


ドキドキし過ぎてどうしたらいいのかわからない…。
うぅー…。

エレベーターに乗ると、更にドキドキは増した。
狭い空間に2人きり。
てっちゃんにこのドキドキが聞こえちゃうんじゃないかって思うくらい、ドキドキしていた。
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