十†字†路
☆表十字路~第一章~

明路1・自己紹介~I~

未来とは予測不可。
見えないから未来に期待する。

未来とは可能性。
全ての可能性が先にある。

未来とは不可思議。
本のページをめくるように、世界は私を次の話へ進めてく。

未来とはそんなもの。
だから…だから…

「いや、だからといってもさぁ…」

これは無い。
有り得ない。

目覚まし時計が丁度壊れ、
遅刻に慌てて家を飛び出、
自転車が家を出てわずか三分でパンク、
走ること一分で転倒、
コケた先に犬のフン、
泣く泣く替えの制服を家に取りに帰ると予報外れの雨。

…で、親が出かけて家の鍵が無いから入れない今の私。

制服の上は犬のフンが着いたから、影でこっそり上だけジャージに着替えて再登校。

ホントついてない。

生まれてからずっと思う。

私は、
ホントに、
ついてない。

「もう遅刻確定だし…ゆっくり行こ…」

トボトボ元気無く歩く。
まったく…今朝の私を見るだけで、私の人生が解る。

私は…
庵樂幸菜は…

とても、
非常に、
この上なく、
最高に、
最悪に、
ついてない。

不幸少女、薄幸人間、不吉告知、最高悲劇…

数々のあだ名が私を示していた。

あだ名は自分を示す、最高の言葉だろう。
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