十†字†路
「アタシには解らないよ。アンタが本当に救いようの無い不幸なのか、がね」

私が答えれずにいると、篠森さんは自分の考えを言い、背を向けた。

微かな敵意と疑心を残し、彼女は出ていった。

「ま、とりあえず連絡待ちだな、庵樂」
「良かったねユキ。少しだけ希望が見えてきたじゃん」

職員室から三人で教室に向かいながら話す。

彼女達には解らなかったのだろうか?
篠森さんの最後の悪意が…

まるで私を責めるかの様な、黒い悪意が……

「考えすぎ…かな」

歩きながら独り呟く。
隣にいる二人に聴こえない様に。

「にしても美雷先生、あの人とどういう繋がりで知り合ったんですか?」
「ま、ただの酒飲み仲間、ってとこ。元は友人の友人だよ」

恐らく、篠森さんは本当に私を救う方法を知っているだろう。
だけど私を救うかどうかは彼女次第……

教室に戻った私は、残りの昼休憩を食べ損ねた弁当を食べる事もなく、思案していた。

私は不幸じゃないのか?
私は幸せを見ていないだけかもしれないんじゃないのか?

不幸と幸福が対なる存在なら……

不幸でない私は、
幸福であるハズだ。

コレが…
今の私が…
私の求める幸せなのかな…?

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