その手で溶かして


どうやって家に帰ってきたのか覚えていない。



あれから何日経ったのかもわからない。



携帯電話が鳴っていた気がした。



インターホンが鳴っていた気がした。



気がしただけで、実際には私の妄想かもしれないし、それほど気にならなかった。



ただ、あの日ウミに言われたことだけが、頭の中をぐるぐると回っていた。



あの日流してしまった涙を後悔していた。



そして、もうどうやって明日を繋げば良いのか私にはわからなかった。
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