その手で溶かして
家の中へ入ると、


「座ってて。」


とソファーを指差された。



あの頃と変わっていないリビングを見渡しながら、私はソファーへと腰掛ける。



古くなった革のソファーは私の体重で音を鳴らす。



泣くと、こんなにも瞼が重くなるんだったかな?



冷たくなった手を目元へやると、ひんやりとして気持ちが良い。



ソファーに体を預け、寛いでいるとウミがリビングへと戻ってきた。
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