その手で溶かして

コンコン


「ここいい?」



ノートのすぐ横に誰かの手が見えたことに驚き、私はパッと顔を上げた。



「ここに座ってもいいかな?」



「へっ?」



まさか私に話し掛けている?



何が起きたのか把握できない私は、物凄い表情で彼を見つめていたと思う。



「勉強の邪魔かな?」



「いいえ。どうぞ。いつも誰もいないから、突然のことに驚いただけ。」



「そう。良かった。じゃあお邪魔するね。」



彼はそう言うと、椅子に腰をおろした。



まだ少しだけ心臓が飛び跳ねているけど、私は今起きた出来事を冷静に振り返ってみる。

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