つむじ風。
数年後、圭条会での地位が確立されると、
俺は組が経営する高級クラブの運営を任された。
林さんから好きなようにしろ、と言われても
名前すらも決まっていない店。
運営資料に目を通している時だった。
ページをめくろうとした右手の甲に
なんとなく目がいった。
生まれつきのこのアザ。
言ったよな、おまえ。
蝶がさ、アゲハ蝶が留まってるみたいだって。
センスねぇなあ…
でもそんなこと言われたの
あの時が初めてだった。
俺はリサを新しいクラブのママにした。
若いが、あいつはこの世界で体を張って
何年もトップを守り続けてきた。
あいつになら任せられる。
思った以上にリサのおかげで
クラブ「AGEHA」は盛況だった。
毎晩、札束が右から左へと
いとも簡単に移動する。
俺はこのクラブにだけは
売春や覚醒剤の持込を厳しく禁じた。
ここにだけは
そんな穢れたものは持ち込ませない。
穢れた俺がよく言うよな。
でもそれだけは
リサにもきつく言い聞かせた。