恋々綴り。【短編集】

#6



「凄く、好きなのに………ッ!?」


 口が滑るって誰でもあると思う。

 だけれど、今回ばかりは泣きたくなった。


 目の前にいる男友達の誘導尋問せいだ。ニヤニヤと笑っている。その隣にいる男友達2は驚いて目をひん向かせている。


 そして、男友達は笑顔で去っていくのだ。


 言わされたことは、男友達2が好きということだった。



 沈黙。
 居酒屋で沈黙はない。



「……その言葉、ほんと?」

 ほんのり赤い、彼。


「……………」


 黙り込む私に、訊ねるように聞いた。


「なら、それ、肯定で取っていい?」


 諦めたようにこくん、と頷けば彼は満足そうに微笑んだ。


 はてないっぱいの私に、意地悪にニヤリと笑い、



「ね、キスしたい」



 胸がきゅう、と甘く締め付けられた。



Fin
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