甘い匂いに誘われて…
じゃなくて。



「ちょっと!
ちゃんと私の話聞いてた?!」



「聞いてたわよ。」




去り行く店員さんに手を振りながら言われても、何の説得力もない。







「要するにあれでしょ。
部長にプロポーズされたんでしょ?

いいじゃない。
おめでとう。」





いやいや、何もよくないでしょ。




「莉乃の話だけ聞いてると、冗談かな?とかも思うけど、出てきた時の部長の顔とか、そういうのを考えると多分マジだよ。」




先ほどのナンパ店員が運んできたパスタを頬張りながら言う。



あなた、意外としっかり聞いてたのね。




「あたりまえでしょ。」




人の心を読むのもお上手で。







「ていうか、普通プロポーズってこの先ずっと一緒に生きていきたい人にするものでしょ?
そもそも付き合ってもいないし、寧ろただの上司だし、なんで部長は私なんかに…」




「あぁ、そうだったわね。
あんたと部長、付き合ってなっかたわね。」






え?
何その言い方。

ものすごく引っかかる。

< 12 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop