ストレートラブ





「帰る」



無表情を保ちながら眉間に皺を寄せて呟いた山下くん。



「あっ!あたしも一緒に…」



「断る」



山下くん、結構ガード固いよぉ。あたしの気持ち…わかってるのかな?



「ってもういない!?」



数秒しか経っていないのに、スタスタと歩き出している山下くん。追い付きたいけど、この距離じゃ追い付きそうにない。



「山下く〜ん!!」



そんな時はあたしの得意技、叫ぶの出番だ!声と気持ちだけは負けないんだからっ。



「また明日ね〜!」



両手が山下くんに飛んでっちゃうくらい、勢いよく振り続けた。すると、山下くんが振り返った。



嘘!?手、振ってくれるのかな?って、あ。すっごい不機嫌な表情してる。



そして山下くんは何も言わず、あたしの前から去ったのだった。





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