彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜
咄嗟に出した手が地面に付くことはなく
虚しく付き出したまま空中をさ迷っていて
変わりに胸の辺りが少し息苦しくなった
何!?
え!?
あれ!?
背けていた顔を上げるとそこには斗真くんの姿があって
『あぶね…』
私は斗真くんに襟首を捕まえられていた
『え……』
あまりのことにポカーンとその綺麗な顔に釘付けになる
『菜々、大丈夫!?』
優ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込むけど
今はそんなの耳に入らない
私は斗真くんに襟首を猫みたいに掴まれながら、斗真くんの顔をジッと見ていた
すると斗真くんはそんな私を見てフッとやさしい笑顔を浮かべて
『気を付けろよ』
そう言うと、手を離してスタスタと歩いて行った