DIA-ダイヤ-
最後のメールを送った時、悠斗はアパートに戻っていた。


「嘘…、つかれたわ」


一人でボソリと呟く。


ハルカが正直に話してくれたら許すつもりでいた。


今までハルカには言いにくいことでも嘘をついたことはなかったし、ハルカを疑ったこともない。


自分もハルカも不器用だけど、お互いに信頼し愛し合っていると思っていた。


「そう思ってたのは、俺だけか?」


フフッと自嘲気味に笑う。


真正面からハルカを受け止めようとしてきたから余計に虚しくなる。


裏切られたという腹立ちよりも嘘をつかれたことがショックで、悠斗は強くもないアルコールを一気に飲み干した。




二人の歯車が、ギリギリと音を立てて軋み始める。


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