【短】もう一度、君に

振り返ってみると、そこには真っ黒のコートを羽織った男が立っていた。


『あんた、誰?』

「俺はこの世とあの世を繋ぐ門の番人だ、お前の最期の願いを叶えに来た」

『俺の願いを…?』


ゆっくりと頷く男。

俺が死んでから、俺の言葉に返事が返って来たのは初めてだった。

この人の言葉がほんとなのか、嘘なのかは分からない。


でも…

『俺の、願いは…雫に目を覚ましてこの世界で笑って生きていてほしい…それだけだ』

この小さな可能性を信じてみたいんだ。

…雫に目を覚ましてもらうために



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