やさしい手のひら・前編【完結】
「凌離して、行かなきゃ…」

「ほんとに待ってんのか?」

「うん、待ってる」

「じゃあ、なんで泣くんだよ。お前笑ってねぇよ」

体が震える。凌に痛い所を指摘され、涙が止まらない

「幸せになるんじゃなかったのか?そのために俺から離れたんじゃねぇのかよ」

私はあんなに凌を責めたのにどうしてこんなにも温かいの?
私は凌を捨てたんだよ

甘えちゃいけない。凌にだけは甘えちゃいけない

私は凌を振り切って、走った

でもすぐに手首を掴まれてしまった

「亜美、川崎さんどこにいるの?」

「どう…し…て…」

泣きじゃくってしまい言葉が詰まる

「話がしたいから」

「困る、やめて。それだけはやめて」

「このままでいーのかよ?」

「凌、ありがと。でも自分の事だからちゃんと自分でするから」

私は凌を巻き添いにできないと思った

「凌、ごめんね」

「亜美、俺はお前が辛い時そばにいるから。そして助けだすから。今まで亜美を泣かした償いだから」

「…凌」

涙がポロポロこぼれていくのを自分で拭いた

「行くね」

凌は私の手首を離さなかったけど私の目を見て、あとは何も言わなかった



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