極悪彼氏
そう決意してお風呂から出ると、久しぶりに見る顔。



「渚ちゃんっ!!」

「おぉ夢羽~、相変わらずチビだな!!」

「どうしたの!?」

「入学式って聞いたから。お祝い持ってきたよ」



この人はお姉ちゃん。



お兄ちゃんの奥さんで…お兄ちゃんが亡くなる1ヶ月前に結婚した。



渚ちゃんはうちに住み続けると言ったけど、それでは渚ちゃんの将来を潰すことになると両親が反対。



今は別々に住んでいて、たまにこうして来てくれる。



恋はできてないみたい。



「入学式どうだった?」

「よくわからない。でもコタローに会ったよ」

「琥太郎に!?どうだった?」

「想像してた人と違って怖かった…」

「そりゃあ夢羽チビだから。アイツ、身長も延びてるだろうしな~」

「お兄ちゃんぐらい大きかったよ」

「そっかそっか、元気なんだな」



渚ちゃんは余計なことを決して語らない。



お兄ちゃんが一途に愛した人は、かなり出来た女。



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