極悪彼氏
こんな歳になってオヤジのことで泣くとは思わなかった。



「琥太郎が俺に求めてるのはなに?」

「知るかよ…」

「ヤバいよ、嬉しいなぁ…。ずっといてくれたんだよな?こんな俺でも、ちゃんと父親になれてる?」

「心配ばっかかけやがって。何が父親だっつーの」

「ごめんね、琥太郎。俺、もっとしっかりするから。何やってもダメだけど…琥太郎とちゃんと家族になりたい」



意味がわかんねぇ。



でもたぶん、俺とオヤジは離れない気がした。



本当に今更だけど、やっと家族になれる気がする。



この先もムカつくんだろうけどな。



「着替え持ってきてね」

「あぁ」

「寂しいから話し相手になってよ?むしろ帰らなくていいから」

「女にでも来てもらえよ」

「来るよ、そのうち」



そう言った瞬間、ドアが開いてテレビで見たことのある女がやってきた。



マジで芸能人じゃん…。



「心配したんだから~!!」

「ごめんごめん」



オヤジの彼女…。



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