極悪彼氏
仕事に楽しさを見いだした気はする。



誰かになりきって、入り込んで。



役の上で恋をして、誰かを恨んで。



仕事を始めて2年目、一度壊れかけた。



役に入り込みすぎて、自分が誰なのかわからなくなって。



その時はオヤジが俺を支えてくれた。



今はちゃんと自分がわかってる。



プライベートと仕事でも切り替えができるようになった。



仕事が終わって家に帰ったら夢羽の写真を見るだけの行動。



これが俺のスイッチ。



別荘に行ったあの時の夢羽…。



「おかえりなさい」

「ただいま」

「琥太郎君、ご飯食べた?」

「食ってきた。疲れたから寝る」

「わかった。明日は何時?」

「5時起き。よろしく」

「はぁい」



オヤジと俺の家に、1年前から家族が増えた。



オヤジが結婚したから。



一応継母ってヤツになった女優。



今も仕事はやめずに、かなりの人気女優。



俺もすんなり受け入れてるってことは、たぶん大人になった証拠だ。



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