極悪彼氏
どうやらカケルの頭は中学時代に遡る。



お兄ちゃんが生きていた頃、ある日コタローが楽しそうに学校に来たらしい。



何を浮かれてるのかと思えば、新しいおもちゃを見つけたと。



「髪がなくなるおもちゃだって、取り出したのがバリカンだったわけだ」

「それで?」

「俺が犠牲になった」

「…………」

「半泣きの俺に言ったんだ、『金髪にしろよ』って。その日のうちに染めた!!」

「で…?」

「次の日、小田切さんにその姿を見せたんだ。そしたら『ウケる。他のヤツと見分けがつくじゃねぇか』ってな!!」



それ、褒められてないよ。



それに似合ってるなんて一言も言われてないじゃんか…。



「よかったね…」

「だから俺の名前は呼んでくれんだぞ!!」

「よかったじゃん…」

「これが俺の生い立ちだ」

「よかった…ですね…」



カケルってとことんバカ…じゃなくて楽観的だな~…。



< 82 / 480 >

この作品をシェア

pagetop