社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



「泣いてなんか…」

「なら、それはなんだ?」





そう言われ頬に手を当ててみると、頬をつーッと流れ落ちていく‘何か’の感触が手に伝わってきた。


それは汗とは言えなくて…


寧ろ、涙ですと強調してるみたい。





「涙じゃないです」

「……」

「……」

「涙じゃないなら、こっちを向いてくれないか」





拓斗さんにそう言われて振り向き、自然と拓斗さんを見れば今まで私が見た事がない顔をしていた。


もしかして心配してくれてるの?


そりゃあ、そうだよね。


外から帰ってくるなり玄関で蹲って泣いていたら誰だって心配になるはずだよね。





「どうしたんだ?何かあったなら俺に言ってみろ」





拓斗さん…



< 145 / 635 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop