社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
こういう時に決まって思うのがキーケースは便利なんだろうなって事。
一応鍵にはキーホルダーはつけてるけどジャラジャラつけてる訳でもないし、歩きながら探すと中々見つからない。
「あったあった」
安いキーケースでも買っちゃおうかな。
そう思いながら差し込もうとした時。
―――ガチャ―
ゆっくりと前の扉が開いた。
前の扉というのは拓斗さんと私が住んでいる玄関の扉の事で。
「えっ」
開いたって事は拓斗さんが…
「何を驚いている?」
「だって…」
拓斗さんさっきホテルに入っていったのに…
「入ったらどうだ?」
「あ、はい」