社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
不貞腐れた原因は私なのにね。
ラジオに食い入り過ぎて拓斗さんからの帰宅メールに気付けなかった私が悪い。
それで、勝手に間違いをして…
「ふて寝?」
「え、あ」
「ふて寝したのか?」
「しちゃったみたいです。拓斗さんは気にしないで下さい」
あはははは、と笑ってみたけど拓斗さんは今一つ納得してないみたいで。
はぐらかされたら誰だってそうなるかもなんて思っていたら。
「ふて寝の原因は俺か?」
――えっ。
「違いま、すよ?」
「その間は必要なのか」
「間なんて開けてませんけど」
なんて白々しく言った私の顔を疑うような眼差しで近付けた拓斗さん。
これは近すぎる…!