社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



「それにしても笑えちゃうわ」

「だろうな」

「特に拓斗が自覚があるなんて最高よね〜」





クスクスと笑いだす初瀬さんを見て拓斗さんはハァと髪を掻き上げた。


凄く鬱陶しそうに見ているはずのに、でもその瞳にはどこか優しさが含まれていてそれが余計にギューッと胸を痛める。


全然違うんだ。


私を見てる時の瞳と今の瞳は。





「優子」

「は、い」





ほら、変わった。


私と初瀬さんとでは全然目が違う。





「何故ここに居るんだ。何故連絡して来ないんだ?」





ですよね…


拓斗さんに言い訳なんて出来ない。


ウキウキし過ぎて忘れましたなんて初瀬さんの前で言わなきゃいけないのは絶対にぜぇったーいに嫌。



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