社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



「そろそろ失礼する」

「足止めしてすみません」





気にするなと男の人に言った拓斗さんは私の肩に腕をまわしたまま歩き出した。


今の私はさっきとは違い小走りをしていない。


というのも拓斗さんが私の小幅に合わせてくれているから。





「ちょっと、あれ見て!」

「えぇっ。社長が女の子連れてる!?」





いつの間にか沢山の視線をビシビシ浴びていた。


そりゃあ、そうなるよね…


拓斗さんが私の肩に腕をまわしたまま歩いてるんだから、皆気になって仕方ないよね。


チラリと横目で拓斗さんを見てみればいつもと変わらず表情がよく分からない。


突き刺さる視線にも動じてないって事に不思議に思いながら拓斗さんと一緒にエレベーターに乗り込んだ――…






< 405 / 635 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop