社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



「それについて言うのはやめないか」

「あなた?」

「拓斗は何かを考えてるはずだ。親だと言っても息子夫婦に口出しするのはやめた方が私はいいと思う」





ブレーキをかけ、お義父さんは言った。


あぁ、やっぱり。


お義父さんと拓斗さんは声が似てる。


お義父さんの方がテノールだけどね。





「優子さん」

「はい」

「案内しよう」





――えっ、いつの間に着いたの?


拓斗さんの大切な勤め先である‘飯田コーポレーション’に。





「優子さん降りましょう」

「はい」





車から出て分かったのは此処は駐車場ではなく会社正面。





「行きましょう」





車はここに置きっぱでいいの?



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