社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)



親父が出ていき一人になった俺は時計に視線を向けた。






「後20分」





20分経てば串田が戻り仕事を再開しなければいけなくなる。


それまでに…、と俺は携帯を取り出しアドレスを開く。


名前ではなく妻と登録してる事を優子どころか誰一人知るはずもない。


妻と登録しながら俺は正気なのか?と自分自身に問い掛けてみたり、ここまできてしまった自分に心配したりしたが溺れてるのは事実だから仕方ない。





「俺だ」

『どっ、どうしたんですか?』





電話口で優子が驚いてるのが分かる。





「あぁ、今日は定時に帰る」

『何かあったんですか?』

「特にはない。ただ一つ優子に伝えたい事がある」

『私に伝えたい事ですか…?』



< 559 / 635 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop