社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「ああ、不倫ですか?」
「……」
「見せ付けたいみたいですし写真を撮り奥様にお伝えしましょうか。秘書としてこんな役目をするとは思ってもみなかったです」
串田なら本当に撮りそうだ。
「違う」
「社長にその気がなくとも…」
串田はチラリと女に視線を向け物色するかのように頭から爪先まで辿る。
「すみませんが席を譲って下さい」
「はぁ?」
「期待しても無駄ですよ。社長は貴女のような方には興味がないですから。どうぞお引き取りください」
何よ、と怒りながらも席を立つ女。
串田に感謝しなければいけないな。
「呼び出してすまない」
相談したい事があると言ってバーに串田を呼び出した。