天神学園高等部の奇怪な面々Ⅸ
そうそう、忘れてはいけない教師を一人、紹介していなかった。

…教員の事務机。

風呂敷に包まれた弁当箱をトンと置き、静かに座する袴姿の侍一人。

短髪、隻眼、腰には銘刀・川蝉。

どう見ても剣豪剣客の類だ。

しかしこの剣豪、先程まで学園の中庭で、思わず男子生徒が手にしたパックのコーヒーを取り落としてしまうほどの和服美女と仲睦まじく昼食をとり、あまつさえ昼休み時間ギリギリまで、その和服美女に膝枕してもらって昼寝していたのだ。

羨ましいな剣豪、この野郎。

夕城 翡翠があの和服美女とどう接しようが、ぶっちゃけ彼の勝手なのである。

だってあの和服美女は彼の奥方。

夕城 こはく。

わざわざハンカチと美味しい弁当を翡翠に届けてくれた、剣豪の愛妻なのだから。

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